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「どうなってんだ――乱闘!?」と智久。
「カープファンって、こんなに熱かったか?」とくだらない冗談を言う修一。
3人は自転車を降りて、噴水広場の周辺を警戒しながら歩いた。
これだけの乱闘騒ぎなのに、警察官の数が少ない。これでは、収まるものも収まらない。
智久は胸の前に腕をまっすぐ伸ばして、修一を制止した。修一は、指の関節をぽきぽきと鳴らしている。
「乱闘に混ざるなよ」
「冗談だよ」
乱闘の渦のなかから、こんな怒鳴り声が聞こえてきた。
「何だか分かんねぇけど面白そうだ!やっちまえ!ぶっ殺せ!」
3人の5メートルほど前に、ぜいぜいと肩で息をしている男性が、膝に手をついて立っている。
鼻からは、おびただしい量の血が出ている。足元には、若い女性が横たわっていた。
2人は乱闘を抑えようとしたのだろう。
男性は声を張り上げた。
「やめろ、お前ら!停学にされたいか!」
教員のようだ。しかし、誰も聞く耳を持たない。
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