第一章命令①

24/66
前へ
/93ページ
次へ
智久は「ちょっと見てくる」と言うと、乱闘が起こっている噴水広場を避けて、駅の構内に入った。 10分後。智久は2人の元へと帰ってきた。右の頬がぷくりと腫れていた。 「構内の電光掲示板を見てきた。新幹線も在来線も運行を見合わせてた。新幹線の人身事故が原因みたいだ。それと……殴られた。いきなりだ!俺が何をしたって言うんだ!!」 「だ、大丈夫?――ねぇ、どうしよう」友香は腫れている智久の頬を擦りながら、自転車のほうをチラリと見た。 「チャリは無理だろ――バス?飛行機?困ったな」 智久も停めてある自転車をチラッと見る。 修一は2人の顔を見比べながら、にんまりと不気味な笑みを浮かべた。 「車で行こうぜ」 「はぁ!?」同時に声を上げる智久と友香。 「お前の家には、高級車のレクサス、それも1000万以上もするLSがあったよな?」 「あるけど……免許証を持ってないだろ!」 「免許は持っているのだ」 修一は財布から免許証を取り出すと、自慢気に2人に見せびらかした。 【種類 原付】
/93ページ

最初のコメントを投稿しよう!

868人が本棚に入れています
本棚に追加