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智久と友香は大きなため息を漏らした。
修一は、本気なのか?目を見る限りでは、冗談ではないようだ。つまり、本気だ。
普通、免許証に載っている写真は真面目な顔をしている。けれど、免許証のなかの修一は無邪気に笑っていた。免許が取れたことが、よほど嬉しかったのだろうか。
「車と原付は違うだろ!」智久は免許証を取り上げた。
玩具を取り上げられた子供のように、口をぷくっと膨らませて睨み返してくる修一。
「だって、一度でいいから高級車を運転してみたかったんだもん」
――だもんとか、お前は何歳だ?アホに付き合うと疲れる。
こんな性格だから、修一を毛嫌いする人も多い。好き嫌いがはっきりと分かれるタイプだ。でも、智久は修一のことが大好きだった。無邪気で、今を存分に楽しみ、後悔はしたくない、自由に生きたいと、体全体で素直に表現する、修一のことが。
何よりも、一緒にいて退屈しない。
免許証の写真を撮ったときも、「笑っているから撮り直し」と何度も係員に言われたのだが、修一は「笑ったのがいい」と、子供のようにせがんだという。さっき、自慢気に免許証を2人に見せびらかしたときの修一の笑顔は、免許証の写真と同じだった。
智久は、母親が子供を叱るように言った。
「車は諦めろ!原付免許で車を運転するバカが、どこにいる」
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