第一章命令①

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「残念です――モンキーで3ケツで行くか?」 修一は拗ねている。そのとき、広島駅の駅ビルに設置されている大型の電光掲示板に、ニュースが流れた。 【8日午後3時頃、山陽自動車道上がり線、尾道インターチェンジ付近で、乗用車など数台が絡む事故が発生しました。運転をしていたのは18歳の男性で、無免許でした。ハンドル操作を誤った模様。他、男女4名が同乗しており、全員がほぼ即死でした】 ――修一がこのニュースを見たらヤバい……。「無免許で運転している奴、いるじゃん」と言うに決まっている。同じ高校生が無免許運転で事故を起こしているのに、「自分なら大丈夫だ」と言いかねない。 智久は、修一が電光掲示板を見られないように、さっと体で修一の前に入った。が、遅かった。にんまりと笑う修一。 「もう見ちゃったよ。同じ考えの奴、いただろ!?」 「事故ってるだろ!悲惨な事故になってるだろ!」 「俺なら大丈夫だって」 「言うと思った……」 2人がそんなやり取りをしている間に、電光掲示板には次のニュースが流れた。 【本日正午すぎ、瀬戸内海から高校生と思われる若い男女2名の遺体が引き上げられました。男性のほうには、首をノコギリのようなもので切られた跡があり、それが直接の死因と思われます。女性の死因は溺死。何らかのトラブルに巻き込まれたか、もしくは無理心中を図った可能性が高いと見て、警察は捜査を進める模様です】
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