第一章命令①

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1人の少女が眉を細めてニュースサイトを見つめていた。彼女はニュースの内容を一字一句メモし、さらに携帯で何か調べている。 ――この2人の高校生の名前が知りたい。見えないところで、人々を蝕む、今は誰も知るよしはない何かが着々と進行している。一体、何が起こっているの! 少女が携帯のボタンを押す指の動きが速くなる。意味深そうな笑みを浮かべて、唇をさざ波のように揺らした。嵐の前のさざ波。それは時間の経過とともに巨大化して砂浜を呑み込み、打ち上げられた海草やゴミを海に呑み込む。そして、浜辺を本来あるべき、奇麗な砂浜に戻す。 少女は、自分の手の甲にキスをした。それは自分に向けたキスではない。ある人に向けた、慈愛のキスだ。 ――私は私。私はあなた。あなたは私。2つの線が1つに交わるとき、それは太くなる……。 「蛍!!ニュース見てる!?……な、何してるの?」 母親がドアを開けて、部屋に入って来た。 「『何があっても私の部屋には入らないで』って、いつも言ってるでしょ。ママのためにも、そう言ってたのよ」
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