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母親はガクガクと震えながら、声を漏らした。
「それって……」
「生命の神秘って素晴らしいでしょ?ママ」
母親は、床に膝をついて泣き崩れた。少女の目の前には、猫の体から取り出した臓器がきれいに並べられていた。
――この娘は、あの日から、何かに乗り移られたのかしら……。
「蛍、あなたは、あのまま死ぬべきだったかもしれない」
「娘に向かって言う言葉じゃないでしょ――こんな体だったけど、産んでくれてありがとうございます。私は今、とても幸せです」
これが、母親への最後の言葉だった。少女が母親と交わした、最後の会話だった。
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