868人が本棚に入れています
本棚に追加
【6月8日(火)午後4時36分】
乱闘を槙圧するために、陸上自衛隊が広島駅に駆けつけた。ロータリーには、窓にスモークフィルムを張った4台の護送車。
自衛隊員は暴れる人たちを押さえつけ、次々と護送車に連行していった。
――ずいぶんと手荒なまねするな。
表情を曇らせる智久とは対照的に、修一はその光景に目を輝かせて見ていた。
――なかなか見れるもんじゃない。テレビの『警察24時』でしか見たことがないよな!
「血が騒ぐ!騒ぎたくなってきた!智久、車で行こうぜ!」
修一の感情は、極限まで高ぶっていた。
「まだ言ってるのか!?お前って奴は……捕まったら、大切な免証を没収されるぞ。刑務所行きかもな」
智久は、修一の免許証をぐにゃっと折り曲げた。
「わぁ、やめろ!やっと手に入れたんだ!」慌てる修一。
2人は「返せ」「誰が返すか」と言い合いながら、子猫がじゃれるようにして戯れていた。修一の免許証を右手で高く揚げながら、智久はさっき自分が言った言葉を思い出していた。
最初のコメントを投稿しよう!