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『刑務所行き』
――自らの意思で動けない人たち……少年院に収容されている人たちはどうなるんだ?
智久は修一に免許証を返した。そして、目を細めて護送車を見る。その目には、憎しみが宿っていた。
――あいつは、父さんを殺した奴は、今どこにいる!?
智久の顔を見て異様な雰囲気を感じた修一は、背中を丸めてしおらしく言った。
「急に怖い顔しやがって――お、俺のせいか?無茶言った俺のせいか?だったら謝る、ごめん。冗談がすぎた」
「修一のせいじゃ……」
そのとき、智久の携帯が鳴った。母親からの着信だ。
『智久、今どこにいるの?』
「……広島駅。友香と修一と一緒にいる」
『岡山に行こうとしてるのね。連絡が遅くなってごめんなさい。仕事が立て込んでて、抜けることができなかったの』
「仕事が忙しいのは分かってる。大切な仕事なんだろ!?――こんな異常な事態でも……。俺のことが心配じゃないのか?」
『心配だから電話したんじゃないの』
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