第一章命令①

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【6月8日(火)午後5時4分】 智久はエントランスを出た。修一と友香が待っている。友達は修一に向けてカードを投げた。 「頼むぞ、修一!」 「任せとけって!――お前、何だか顔がニヤケてないか?」 「いろいろあってな。さぁ行こう――そうだ、岡山に行ったら和田直人って奴を捜そうぜ」 3人は車に乗り込んだ。修一は運転席、智久は助手席、友香は後部座席。 「高級車は内装が違うね。さすが1500万円!高級感、溢れてる!ほら、鍵、車のかよこせ」修一はそう言いながら、智久に手を差し出した。 「鍵はさっき渡しただろ。この車はカードキーなんだよ」 「……じ、冗談だよ。知ってるよ――どこに差し込むんだ?」 修一は、ハンドルの辺りを触った。カードキーを差し込む場所を探している。 「どこに差し込み口があるんだ?カードキーを差し込む場所がないぞ」 「……カードキーって、持ってるだけで、エンジンがかかるんだよ。ハンドルの左横に丸いボタンがあるだろ。ブレーキを踏んで押してみな」 「冗談だよ、知ってる。ボケてみただけなのだ」
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