―序章―6/7[mon]pm11:53

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【6月8日(火)午前0時0分】 高層マンションの最上階にある4LDKの部屋。そこに住んでいる私立三和高2年生の工藤智久(クドウトモヒサ)は、明かりの消えた部屋で泣いていた。 「お父さん……」 ――プルルプルルプルル 智久の携帯からコールが3回、鳴った。メールが届いたときには、3回鳴るように設定していた。数秒後、携帯がまた鳴る。智久の彼女、今村友香(イマムラユカ)からの着信だ。 「なんだよ、友香。毎日電話してきやがって……」 『まだ泣いてるの?――元気出してよ。智久が悲しんでると、私も悲しくなるの。学校に来てよ、みんな待ってるよ』 「父さんが殺されたんだぞ――父さんはなぁ、マンションの一部屋一部屋に足を運んで、『みんなでお金を出し合って補償してあげよう』って呼びかけていたんだ。休みの日や、仕事で疲れて帰ってきた日もな!けど、どこも『うちには関係ありません』って門前払いだった!それでも父さんは諦めなかった。『近辺に迷惑をかけたのは、私たちだ』と言って。父さん、必死に説得していた――それなのに、どうして父さんが、殺されなきゃならないんだ!おかしいだろ!!」
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