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整地された森林の中を
車のエンジン音より
けたたましく蝉の鳴き声…
『…ウルサイ…』
私は、耳を両手でふさいだ。
『ママ、大丈夫かい?』
夫の雅は、穏やか声で話しかける。
3歳になる愛娘の沙羅は、心配げに私を見上げた。
心配をかけてはイケない。
ふさいだ手をおろし、2人に微笑みを浮かべ、沙羅の頭を撫でた。
今日は、雅の祖父の13回忌…。
お寺で法要を終え、食事会の料亭に向かう。
私は、雅の一族が苦手だ。
横浜で旧家の分家筋が雅の実家。
育ちも善く、学歴も高く世間一般的にはエリートな雅
長男である雅の嫁が、高卒で庶民の私を義母は、表面上、人前では可愛がってくれが、長男の嫁として不服なのが言葉の端々にわかるの…。
特に、今日は本家の皆さんがくる
義母の気合いの入れようは、ハンパない。
失敗したら…
考えただけで気が重いのに…
あの男は寺にはいなかっただけましか…
…
でも、気が重いよ
…助けて…真理亜
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