蝉の声

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見栄っ張りの義母が選んだ、豪華な料亭。 真理亜のように、優しげな微笑みを真似て、義母が望む嫁を演じ接待に、あちらこちらの席に御酌に回る。 宴も終盤に近づき このまま、義母を怒らせないまま終わる事を願い続けた。 「叔母さん遅くなってゴメンな…」 「猛さん!!」 義母の2オクターボ高い声が広間に響きわたる。 その瞬間 私の心に一度は消したはずの【殺意】が甦る。 心拍数があがる。 息がしにくい。 額に汗が滲む。 本家の跡取り息子、猛の登場ではしゃぐ義母と雅。 彼は一族のアイドル的存在。 端正な顔だち 黒く日焼けした肌に無駄のない筋肉 全身の全てを一流品で飾らている。 『御義母様、アナタの可愛い甥っ子は、世間では害虫と呼ばれるヤクザなのよ。その男に真理亜は…私の親友が…』声に出してしまいそうになった。 キライ キライ キライ 息が苦しい…。
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