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「じゃあ諸君帰りながらでいいから俺の話を聞いてくれっ」
「何よ海その言い方。バカじゃないの」
帰り道偉そうに言う海に思わず私はつっこんだ。
「バカじゃねぇよ!!あーあ、せっかく鈴奈が好きそうな話しようと思ったのになぁー」
言うのやめよーかなぁと海は私にそっぽを向ける。
そう言われたら人間どうしたって気になってしまう。
「何よ?」
「言わない」
「はい!?」
「バカって鈴奈が言ったから言わなーい」
「はあぁ!?」
悔しかったら謝れよーと海はイタズラっぽく笑う。くそー…っ
「でた海くんの鈴奈いじり」
「ほんとただのカップルにしか見えねぇよな茜ちゃん」
「まぁね。でも本人達は否定するからねぇ…絶対両想いだとは正直あたしも思うよ勝也」
「珍しー。俺の意見聞いてくれるとか」
「うっうるさいなもうっ…」
全然海が口を割ろうとしないから何やらこそこそ話す茜たちに私は助けを求めた。
「茜ー、勝也くーん、海がしつこい」
「あははっ。鈴奈、こうゆう時はね、海くんに…」
茜は私の耳元でこそこそとこうすればいいよと教えてくれたけど…。
「ちょ…!!いや無理っ無理よ!?鈴奈サンそんな上級テクニック使えませんわよ恥ずかしい」
「鈴奈慌てすぎ。大ー丈夫。それ言ったら海くん喜ぶよ、一瞬」
「いやないね」
「ある。ほらいっといで鈴奈」
「うー…」
ほらほらと笑う茜は行かなきゃ許してくれなそうなので諦めて顔の熱さを振り払うように走って海の近くまで行く。
「茜ちゃん何言ったの?」
「多分鈴奈こっちに聞こえるぐらいの声で言うからすぐわかるよ」
「海ーっ!!」
茜の予想どおり私は大声で叫ぶ。
「んだよ鈴奈。謝る気に――」
「大好き」
「っっ!?」
「な友達だよーー!!」
「…あ…?…あぁっそうっそ…そうだよな!!お前俺になついてんもんなっ!!」
あははっと笑う海は何だかさっきより随分赤くなっている気がする。暑いもんね今日。
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