幻のG

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寮の庭で、雅信先輩と草をぶちぶちと引き抜く。 「どんな感じですか」 ぶちぶち。 「あー、カサカサ、って感じだな」 カサカサ。 「翔ぶんですよね」 「だなー。バサバサって感じだな」 バサバサ。 草を放り投げて、寮を眺める。カサカサでバサバサ。 出てこないだろうかカサカサと。 ジッと寮を眺め、時々思い出したように草を引き抜く。 「あら二人とも、何してるの?」 寮の窓がカラカラと開き、中から奥さんが顔を出した。
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