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「んもぅーっ、綾ったらぁっ!
ぶつぶつ言わな~いっ」
私が広告を取り上げたと同時、申し訳なさそうに声を掛けられた。
「お客様、ゲームをお買い求めでしょうか?」
気付けば、一番前だった。
「買いまぁ~す」
「ちょ、奈穂っ!いいの?万が一って意味がまだ分からないのに…」
さっさと会計を済ませると、列から離れていく。
綾は慌てて
私を追いかけてきた。
「ん、これ」
ズイッとビニール袋を綾の前に出す。
袋には新品のモンスターワールドが入っていた。
「え……?奈穂?」
「私の分はモチロン有るよ。綾もモンスターワールドしなよっ、てこと~」
ふんふんと鼻歌を歌いながらビニール袋を揺らす。
「まぁ、受け取っとくけど、やるか分からないからね…テスト近いし…」
いいながら、
腕時計を見遣る綾の大きな目がさらに見開かれた。
「いっけない、塾に遅れるっ…じゃあね~」
「ん、また明日~」
こうして、
綾はモンスターワールドを受け取り、疾風の如く塾に向かったのであった。
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