3日

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「君を忘れないように、僕に君を刻んで――」  ゆっくりと、差し出された左手。嗚咽を漏らす少女は、少年を見る。  ゆっくりと、少年は頷いた。  少女はその手をとり、そっと口元へ寄せる。その指は一度人差し指に伸びるも、少しのためらいのあとに薬指へと移った。  少年の薬指は少女のやわらかな唇にふれると、次に、小さく白い歯にあたった。
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