バイト帰り

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もっと押されても 私の背が重くなるだけじゃないか。 腹を括って 私は包みを受け取った。 「では、拾いものなので…… 礼は言いませんが、 ……それでいいのですね?」 彼は微笑して答えた。 嗚呼、なんて綺麗なのだろうか。 澄んだ瞳に まだ幼さが残る柔らかい表情。 でも、 もう一人の『彼』には劣るのだ。 『彼』に勝るものはいない。 私は そっとデコレーションされたテープを 切り、 中身を手探りで取り出した。 中に入っていたのは 碧く光る十字架のピアスだった。 「ピアス……空けてたよね?」 「えぇ。まぁ」 『彼』のために4つの内、 2つは空けた。 残りの2つにでもつけよう。 ごくり、 と何故か彼の喉の鳴りが 人の声と足音が入り混じる駅前で いやに大きく聞こえてきた。 「今、つけてくれないかな」 彼に直毛が風になびき、 私の銀髪に近い白髪を 風がさらっていった。 「……今……ですか……?」 「今、つけてほしい」 「別にかまわないですけど」 と冷淡にイライラを込めて 私のありったけの不満を吐いた。 針を私の耳たぶに通そうとすると、 誰かが私の手首をつかんだ。 きつく、 でもそれは私が知っている 温みだった。
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