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「もらいものは
駄目だと言ったでしょう?」
彼の腕が私の頬を包むように抱え、
白銀の髪を撫でた。
『彼』の蒼い髪が私の頬を擽る。
「上様」
流しを着こなし、
梅の紋様が入った羽織を
羽織っている。
「目立ってます」
行きかう人々は
絶対『彼』をみて通り過ぎている。
写真を撮っている人や
頬を赤らめて眺めている人も
ちらほらいるのだが、
『彼』は気にせず、
思いのままに私を撫でまわす。
彼は目を大きく見開き、
口を半開きにして『彼』を見ていた。
「あまり遅いから探しに来た。
お前がいないと、仕事が捗らない」
やはり、『彼』は艶やかだ。
通った鼻筋に透き通るような肌、
桜色の薄い唇。
儚くて、
触れてしまったら壊れそうだ。
「申し訳ございません。
すぐ、いきますので」
「そうかい。それは助かる」
彼は腕を解くと、
私の一歩後ろへと下がった。
いつもは
こんなに気が利かないのに。
私は呆然と呆けている彼と
対峙する。
まだ意識は
どこかに飛んでしまっているようで、
口が開きっぱなしだ。
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