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「終わったかな?」
『彼』が隣に来て問うてきた。
「はい。ご迷惑をおかけしました」
『彼』はいつもと同じ艶やかな色を
のせた唇で口角を上げた。
「それでは、
お前にやってもらわなければ
ならないことが山積みだ。
先に行ってなさい」
ずっしりと自責の念が背中に
のしかかってきた。
嘘。
昨日、
結構片付けたつもりだったのに。
「了解いたしました。
ご主人様の仰せの通りに」
私は『彼』と彼に深いお辞儀と
浅いお辞儀をそれぞれにして
地下鉄への階段へと駆けだした。
私が乗る電車は夢の電車。
誰しもが乗ることはかなわない
魔法の町への電車。
「月町西神区行き」
神様と魔女たちが犇めく町だ。
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