第一の手記

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そして迎えた新年度。 私は、その年入学してきた新一年生の学年を任されると同時に、1ーAの担任になった。 体育館で行われた入学式を終え、生徒を引き連れ教室へ。 教卓から見渡すクラスには、今日初対面の生徒が40人強。 見慣れぬ顔ぶれが、一斉に私を見る。 そして始まるお約束。自己紹介だ。 出席番号一番の生徒から順に立ち上がり、皆一様に名前と出身中学、それに簡単な言葉を添える。 ……前から気になっていたんだけど、出身中学をアピールする事に何の意味があるのかしら? 愛校精神の現れ? 不安を抱く新しい環境下での古巣に対する回帰願望? (ま、何でも良いんだけどね) 前へ習え、教育機関では良く耳にする言葉だが、自己紹介くらいは自己流でもいいんじゃない? なんて思いつつ、今尚続く伝言ゲームを白けた本音を隠しながら見守る。 そんな生徒達の中に、小林拓海という少年の姿もあった。
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