親愛なるHALへ

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Hello Hello ? HALに告ぐ。 HAL あなたは花。 ぬくもりの色を帯びた花。 影に咲いた、一輪の小さな花。 誰かに見て欲しくて、 自分を知って欲しくて、 一生懸命背伸びをしている。 そんなあなたの花びらは、 何故こんなにも冷たいのか。 HAL あなたは烏。 灰色の空を飛ぶ自由な鳥。 休むことの出来ない、 嘘という名の翼。 親の愛を求めるたびに、 あなたは黒く汚く汚れていく。 そんなあなたの姿は、 何故あんなにも 気高く美しいのか。 HAL あなたは果実。 憎悪を孕んだ甘い果実。 誰も見たことのない、色をした果実。 あなたを手にすることも拒絶され、だんだんあなたは腐ってゆく。 そんなあなたの香りは、 何故そんなにも寂しいのか。 孤独な瞳は己しか見えず、 独り荒野をさ迷う。 あなたは人を否定し、全てを拒絶した。 そして、 あなたは私も拒絶する。 残った残骸、あなたの爪痕、ぬくもり。 私は怖い。 あなたを否定、拒絶する人達のように、 あなたを否定、拒絶する自分がいる。 私は待っている。 もう一人のあなたが戻るまで。 HAL それまであなたは 壊れた人形のように 街を駆ける。 HALに告ぐ。 どうか、独りで泣かないで。 .
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