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「………き、ゆき」
「………ん、?」
誰かに呼ばれて目が覚めた。
曖昧にぼやけた視界を
何とか開いてとなりを
見ればそこにいたのは
すばちゃんこと渋谷すばる。
そうだ、あたしすばちゃんと 講義受けてたんだった。
す「お前、寝すぎ。
よだれ垂れてんで」
「え!うそ…」
す「うそ(笑)アホやん」
「もー!てか、もう昼過ぎ」
す「お前が寝てる間にな」
この俺が必死こいて受けて
たってのに、とすばるは
大きなあくびをついた。
「…どうする?
この後きみくんたちと
合流するんだっけ」
す「おん、今日は久しぶり
居酒屋や~」
「わーい」
ふにゃりと笑ったすばるを
見て、あたしも笑った。
すばるは彼氏かって?
それは違う。
親友?よき理解者?
どれにも当てはまるようで
当てはまらない。
でもとにかく大切な存在。
す「嬉しそうな顔して。
久々やもんなヨコと飲むの」
「へ、?」
すばるは図星か、と
にやついた。
す「お前、ヨコのこと
好きなんやろ」
何で、何で知ってるんだ。
あたし誰にも言ってない
よね……うん。
「な、なんで…」
す「アホ、見てたら分かる」
すばるは何の気なしに
そう言ったけど、
あたしには大問題で。
「ぜったい!きみくんには
言わないでね?」
す「はいはい」
そう、あたしは
横山侯隆に思いを寄せてる。
すばるに気づかれてた
なんて……。
「まさかヒナちゃんも…!」
す「あいつは無いよ。
鈍感やし、そういうのには
疎いからな」
「…良かった」
ヒナちゃんとか何言うか
分からないもん。
す「それに………」
「ん?」
す「…何もない」
「なによー」
そしてあたしたちは
講義室を出た。
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