10人が本棚に入れています
本棚に追加
嵐の中でも淑やかに垂れる金の髪に、渇きの中でも柔らかさを保つ白い肌。
僅かな布を纏うその姿は、喧嘩の最中であった北風と太陽すら、一目で酔わせてしまった。
「あの……力比べをと思いまして」
「そこの旅人の上着をどちらが剥ぎ取れるのか、と……」
「あら、そういう事…………面白そうね」
星の女神が奏でた予想外の旋律に、北風と太陽は互いの顔を見合せ、頭を傾げた。
「女神様、これは我々の喧嘩で御座いますが」
「面白そうとは、如何なる意味でしょうか?」
「その力比べとやら、私にも試させて頂戴?」
星の女神の気紛れな独奏に、北風と太陽は喧嘩も仲の悪さも忘れ、再び顔を見合せた。
最初のコメントを投稿しよう!