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「この上着をあげるわ。私は慣れてるから大丈夫。娼婦だか何だか知らないけど、あんまり遊んでばかりいちゃ駄目よ?」
女言葉の男はそう言って、惚けたままの星の女神に自らの上着を与え、再び歩きだした。
……北風の大笑いが星の女神を裸にし、赤面した太陽が女神の白い肌を焼き、それを見かねた女言葉の旅人が上着を脱ぎ、女神に与えた。
「太陽よ、この勝負は誰の勝ちになるのだ?」
「はて……俺にもさっぱり分からぬのだ。北風よ」
「あら」
北風と太陽と星の女神は、小さくなっていく旅人の背中を何時までも、何時までも眺めていた。
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