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もちろん、僕の。
お鈴は目を大きく開いてから微笑んだ。
「よかったじゃないの。優柔不断で、自分一人じゃ何も決められないどうしようもない貴方のお嫁さんになってくれようという人が現れて。」
「あぁ。」
「じゃあ、これが最後の面会となるのねぇ………。」
ポツリと彼女がつぶやいた。
「あぁ。」
「なによ、その顔。縁談が決まったんだからもっと喜びなさいな。」
とん、と彼女は僕の背を叩く。
叩かれたその場所がじわりと暖かい。
「お前はそれでいいのか?」
彼女の微笑んでいた顔が固まった。
「何を言いたいの?」
僕は真っ直ぐと彼女の瞳を見据えた。
彼女の瞳がぐらりと揺らぐ。
「本当は気づいているんだろう!?」
「何の話かしら。」
すっ、と視線をそらされた。
「僕の気持ちにさ。」
僕は、お鈴の手を取った。
「ずっとお前だけを見てきたんだ。」
「やめて……」
「僕が愛してるのは君だけなんだ!!!」
「やめて!!!!!!」
お鈴は耳を塞ぐように了の手で頭を抱えた。
「やめて、今更、なんで……。」
僕はそっと彼女の頭を撫でた。
「ここから逃げよう?」
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