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それからしばらくも歩かないうちに、秀太は自分の目を疑うような光景に出くわした。
「これは…」
「どうりで暑いわけだ」
通路から広い部屋に出た。随分広いその部屋は丸く、真ん中にはやっぱり丸い穴がずどんと空いており、そこにはぐつぐつと燃えたぎるマグマがあった。
「そこまで下におりたっけ…」
「いや、これは雰囲気を出すために用意したんだろ」
「…なんだそれ?」
サラリと言ったグレイスの言葉が理解できず、おもわずぽかんとしてしまう秀太。
「ここを作ったのはハーゲンの奴だからな。奴の趣味なんだろう」
ダンジョンも気分次第かよと、秀太は嫌悪感をあらわに呟いた。その時、部屋の中にお決まりのような高笑いが響き渡った。
「はぁーっはっはっは。勇者グレイスよ、よくぞここまできたな」
よく見ると中央のマグマの穴の向こう側の壁に扉があり、その扉の前に田山教頭がいる。
「ダンジョンやらモンスターやらと凝ったことしといて、登場は普通かよ…」
見慣れた顔の普通の登場に、秀太はがっくり肩を落とす。
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