午後の授業

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そんな二人の様子を、凛は首を傾げながら眺めていた。 「えと……私はどうしたらいいんだろう?」 「馬鹿っ!いい加減にしとかないと、春日が殺されるんだぞっ!」 頭を抑え、目尻に涙をためながらようやく秀太が立ち上がり、凛に駆け寄る。 「う…でもプリン……」 小さく呟く凛の中で、プリンと桃子が天秤にかけられた……。 まぁ、一瞬の事ではあったが…。 「仕方ないわね、この勝負は預けておくわ」 凛は悔しそうにグレイスから剣を引くとそのままハーゲンに向かって構えた。 それにならうように、秀太とグレイスも剣を抜き、ハーゲンを囲む。 「形勢逆転てやつだな」 グレイスが勝ち誇った顔でハーゲンを見やるが、ハーゲンは余裕を表情から隠すことなく、低い笑い声を響かせた。 「形勢逆転…か。まだまだ甘いな、グレイスよ……今だ、撃てっ」 タァン―― 銃声が響き、グレイスと秀太の丁度真ん中の地面がパシィッと音を立てて小さく抉れた。 「な…何?」 グレイスは動揺を隠そうともせず辺りを見回し、背後を見て声を詰まらせる。その様子に秀太と凛も振り返り……そして自分の眼を疑った。
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