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秀太に向けられた銃口が、鈍い光を放つ。
動けない。
銃が怖いからではない。いや、全く怖くないといったら嘘になるだろうが、それよりも銃を秀太に向け、冷たい目で三人を牽制している人物に驚き、全身が強張る。
「頼むから動かないでくれ。誰か一人でも少しでも動けば、撃つからな……」
怒りも悲しみも、躊躇さえ感じられない……感情のない言葉。
「健司……」
秀太が口の中で、銃を向けてくる親友の名を呼んだ。
「えと…なんで?どゆこと?」
凛は理解ができていないようで、間抜けな声をだす。その質問に答えた…わけではないだろうが、グレイスが「やはりな」と呟く。
「神奈君が消えたときに、おかしいと思ったんだ。お前さん、奴の仲間だったんだな」
「ちょ…まてよ!まだ仲間って決まったわけじゃ――」
「そのとおりだよ」
グレイスの言葉に怒りを露わにする秀太の台詞を、健司が無理やりかき消した。
「なっ…」
「仲間というか……俺はそいつの息子だ」
これには秀太と凛のみならず、グレイスも驚き目を丸くする。
「う…嘘だろ?だって…だってお前…じゃあいままで……」
「悪いな、秀太。俺、ずっとお前を騙し続けてたんだ」
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