終わりのHL

2/13

13人が本棚に入れています
本棚に追加
/96ページ
ー1ー   秀太に向けられた銃口が、鈍い光を放つ。 動けない。 銃が怖いからではない。いや、全く怖くないといったら嘘になるだろうが、それよりも銃を秀太に向け、冷たい目で三人を牽制している人物に驚き、全身が強張る。 「頼むから動かないでくれ。誰か一人でも少しでも動けば、撃つからな……」 怒りも悲しみも、躊躇さえ感じられない……感情のない言葉。 「健司……」 秀太が口の中で、銃を向けてくる親友の名を呼んだ。 「えと…なんで?どゆこと?」 凛は理解ができていないようで、間抜けな声をだす。その質問に答えた…わけではないだろうが、グレイスが「やはりな」と呟く。 「神奈君が消えたときに、おかしいと思ったんだ。お前さん、奴の仲間だったんだな」 「ちょ…まてよ!まだ仲間って決まったわけじゃ――」 「そのとおりだよ」 グレイスの言葉に怒りを露わにする秀太の台詞を、健司が無理やりかき消した。 「なっ…」 「仲間というか……俺はそいつの息子だ」 これには秀太と凛のみならず、グレイスも驚き目を丸くする。 「う…嘘だろ?だって…だってお前…じゃあいままで……」 「悪いな、秀太。俺、ずっとお前を騙し続けてたんだ」
/96ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加