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ー2ー
二人が見えなくなり、しばらく誰もその場から動こうとしなかった。
全員が、いましがた二人の学生を飲み込んだ穴を力なく見つめていた。
秀太が音もたてずに、その場に膝をつき崩れる。
「……なんだよこれ。ありえねぇような方法で冗談みたいなダンジョンに来て……馬鹿みたいなボスが出てきて……なのに、何なんだよ!この展開はよぉっ!」
秀太の頬を大粒の涙がいくつもつたった。
凛は声を出して泣きじゃくり、グレイスも真っ青な顔で無念そうに穴を見つめている。
そんな彼らの雰囲気を完全に無視し、ハーゲンが忘れていた事を思い出したとばかりに、乾いた笑い声を響かせた。
「は……ははは……はははははっ!やったぞ!ついにやったぞ!これで魔王様は……魔王様がぁっ――」
先ほどと同じ場所に、先ほどよりも強い衝撃を受け、ハーゲンは後ろにふっとんだ。
「てめぇ……許さねぇからな…。ぶっ殺してやる……」
「くくく…無駄だ。私をどれだけ殴ろうとも、もう魔王様の復活はとめられん!」
「そんなこと知るかよ……とりあえずお前……死ね」
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