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まだ起きあがれずにいるハーゲンの襟元をつかみ無理やりたたせ、秀太の右フックが再三炸裂する。よろめくハーゲンに今度は左……右、左…
「ひぃっ…ぶげっ…がっ…ま、待て…がふっ……待ちなさ…ごはぁっ…た…助け……ぐっ」
秀太の全くリミッターのかかっていない連続攻撃に、ハーゲンはなすすべもなくサンドバッグと化す。秀太の最後だと言わんばかりの右ストレート。それがクリーンヒットしかけたその時――
「なっ…何?今度は何なの?!」
「しまった!復活が始まったんだ!」
ダンジョン全体が、その場の空気もろとも激しく揺れだした。
マグマがだんだんとせり上がってくる……いや、マグマではない。せり上がってくるマグマはどんどんどす黒く変色していっている。それは巨大な生き物が溶けているような容姿で、ついに穴の中から大きな顔を出した。
「オオォォォォン――」
それは雄叫びか産声か……心の蔵にまで届きそうな、不気味な声が木霊した。
「ははははーっ!小僧!調子にのるのもここまでだぁっ!これでこの世界は……世界は我々のものになるのだぁっ」
すっかり形の変わった顔を歪めて、ハーゲンが全力で笑った。
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