終わりのHL

8/13
前へ
/96ページ
次へ
何となくむかついた秀太は、さっき途中でやめた右ストレートを再開。ハーゲンはまたしても顔の形を変えることになった。   「なんという事だ……最悪の展開だ…」 グレイスの声が震えた。一応剣を構えてはいるが、その手も震えている。 「最悪な展開は今に始まったことじゃないじゃない…」 凛が涙を制服の袖で拭いてやけ気味な笑みを浮かべると、グレイスにならい細身の剣を構える。 「グレイスっ――!」 秀太が駆け寄ってきた。 「こいつ……どうするんだ?」 「どうするつったって……倒さないと、本当に世界が崩壊するぞ…」 「やっぱりか……。いいさ、あのおっさんを殺したら、人殺しみたいで後味悪いし……。ならこいつをぶっ倒して英雄になってやらぁ」 友を失った悲壮感がまるで隠れようともしない笑顔を見せ、秀太も剣を抜いて眼前に構えた。 「やつはまだ復活の途中だ!完全に蘇る前に倒すしかない!…行くぞっ」 「うん!」 「おうっ!」 凛は恐怖を背にし、 グレイスは死を背にし、 秀太は憎しみを背にして、魔王に向かって地を蹴った。
/96ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加