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何となくむかついた秀太は、さっき途中でやめた右ストレートを再開。ハーゲンはまたしても顔の形を変えることになった。
「なんという事だ……最悪の展開だ…」
グレイスの声が震えた。一応剣を構えてはいるが、その手も震えている。
「最悪な展開は今に始まったことじゃないじゃない…」
凛が涙を制服の袖で拭いてやけ気味な笑みを浮かべると、グレイスにならい細身の剣を構える。
「グレイスっ――!」
秀太が駆け寄ってきた。
「こいつ……どうするんだ?」
「どうするつったって……倒さないと、本当に世界が崩壊するぞ…」
「やっぱりか……。いいさ、あのおっさんを殺したら、人殺しみたいで後味悪いし……。ならこいつをぶっ倒して英雄になってやらぁ」
友を失った悲壮感がまるで隠れようともしない笑顔を見せ、秀太も剣を抜いて眼前に構えた。
「やつはまだ復活の途中だ!完全に蘇る前に倒すしかない!…行くぞっ」
「うん!」
「おうっ!」
凛は恐怖を背にし、
グレイスは死を背にし、
秀太は憎しみを背にして、魔王に向かって地を蹴った。
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