はじめに

2/5
12人が本棚に入れています
本棚に追加
/127ページ
 数ある特撮作品の中で一番好きなものは何かと問われ、色々考えた挙げ句に私が『ウルトラセブン』と答えるのは今も昔も変わらず、これから先もそうであろう。 何故『ウルトラセブン』が好きなのか。よく世間様では「重厚なストーリー」だとか、「大人の鑑賞に耐えうる作品」だとか言われており、批評書籍などでも目が腐るほどそのような言葉を見てきた。事実、そういった側面はあると思う。私が『ウルトラセブン』を好む理由もそういった部分があることを否定はしないのだが、むしろ私には「憧れ」の要素が大きい。 この「憧れ」とはヒーローとしてのモロボシ・ダンに対するものではない。『ウルトラセブン』という作品が持つ大人の雰囲気に対するものである。次いでに言うと、私にとって『ウルトラセブン』は 夜 の象徴である。  私は俗に言うリアルタイム世代ではなく、ビデオや再放送による視聴世代だ。(1900年代はまだ地上波で特撮の再放送が行われていた) 夏休みのような集中休暇期間に『ウルトラマン』や『ウルトラマンタロウ』を日中見ていたのを覚えている。ところが『ウルトラセブン』を昼間に見た覚えは無かった。 私が『ウルトラセブン』と出会ったきっかけは1本のビデオテープであった。『ウルトラマン』をあらかた見尽くし、他に何かないかと探していると、ウルトラセブン とラベルに書かれたビデオテープを発見した。この辺りは記憶が曖昧なのだが、恐らくウルトラセブンについては図鑑などで漠然と知っていて、映像作品を実際に見たことは無かったはずである。 さて、そのテープの中身は1987年の夏、深夜に放送していた、泉麻人のウルトラ倶楽部(※)であり、5~6本ほど録画されていた。私がこの時『ウルトラセブン』について抱いた感想は改めてここで語る必要はないが、何より私を惹き付けたのがCMであった。昼間では見られない深夜のCM。決して如何わしいものではないが、一日中煩わしい今日のテレビと違い、深夜に合わせた静かで明るさを抑えた雰囲気は独特であった。(クラリオンソフト販売の円谷特撮のVHSのCMには狂喜)
/127ページ

最初のコメントを投稿しよう!