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「アザカ!そんな、え…名前が似てるからって…」
「確かに、トワイライトは俺の師匠です。アザカさんはどういう
「アザカ、で」
「…アザカ。一体、トワイライトとはどういう間柄で?」
「六刃と言えばご存知でしょう?火、水、風、雷、土、無…の中でも属性値最強武器。私はその、雷を所持しています」
「『麒麟双撃』ですか」
「はい。雷属性数値にして306。ステータス最高値は317、知られている雷属性武器の中では最強ですね」
六刃と呼ばれあった仲なら交流がないはずがないだろう、闘技場やバトルに幾度となく駆り出されたはずだ。
成果を出せずとも、バトルイベントにおいて六刃がいるというのはそれだけで宣伝効果なのだ。
「じゃあまさかとわ殿は」
「冥府短刀…風城、属性数値にして336、上限数値は336。つまり、この上は存在しない風属性剣です」
メイトさんは目を見開いて唖然とした、アザカはふう、という顔付きになって座る。
「…トワイライトさんは引退した、彼は誰か強い人に剣を渡して引退するって言ってたわ。トワイライトさんは対人最強と言われてた頃もあった、一時期だけど…」
「彼は対人において最強だった、俺と彼のステータスの違いは俺の方が幸運が高く、彼の方が防御力が高かった、それだけです」
「トワイライトさんは対人プレイヤーに特化していた、という事ですか?」
「はい。風で対人の頂点に立つのは難しかったのにあの人は登りつめた」
トワイライト・イルミス・エーベルヴァインの伝説だ。
風属性武器はダメージ量が不安定なのだ、安定しないダメージ量のせいでトワイライトは思考錯誤に追われていた。
防御力を幸運に回すかどうか、しかし対人において防御力を削るのは難しい。
トワイライトは諦めた。
自分は対人最強の風使いであるという証明をして、弟子は騎龍笛を手に入れたゲームマスターだとして。
自分がゲームを制覇して騎龍笛を手に入れる事を諦めた。
これが弟子の知る師の最後であり一生である。
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