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「とわ、姫も。ちょっと来てくれ」
クロが手招きをしている、小走りでそちらに向かって地面に座る。
「予定を組みたい、今日はもう夕方だが…どうする?」
「…んー、暗い中帰るのはなぁ…ここでキャンプを立てればいいんじゃないかな」
「キャンプ…ですか?」
プレイヤーが1つだけ持っている仮想空間の様な物で、主に課金システムだ。
課金プレイヤーが課金し、部屋を広くしたり家具を配置するが無課金プレイヤーはイベントでたまに手に入る小物程度しか存在しない。
また課金プレイヤーでも、部屋を強化しても狩りには影響がない事から課金しないプレイヤーもいる。
俺はゲームが現実になる《事件》の3日前にキャンプを娯楽で完成させていた。
「俺の部屋は広いよ、ベッドは1つしかないけど…広間にソファーがある」
「あるじの部屋はキャンプって広さじゃないしねぇ…主の部屋なら床で寝てもいいよ」
「いや、集まっていた方がいいだろうな。俺もキャンプに課金はしてなかったからベッドはない」
那奈もクロに頷いた、ベッドもソファーもない彼らにとっては俺の部屋の床で寝ても自分のキャンプの床で寝ても変化がないという事だろう。
そんな考えをしてると背中にぴとりと張り付く物陰があった、首を向けて確かめる、どうやらシエンのようだ。
「さっきは…ありがと」
「いえいえ」
構わないよと伝える。
「とりあえず、鉱物を掘ろうかと思っている。NPCに売るんだ、未だ俺達にはお金という物がない」
どうやらお金は抹消されたらしかった。いや、所持武器以外ほぼ全てと言った方がいいだろう。
ミネラルウォーターや紙が残ってたのは奇跡だ。
銀行の中も空だったと、ブルーバードの広場にいた奴らは言っていた。
所持武器と言ってもなくなってる物となくなってない物があったが…
例えば犬丸の『陰陽の兜』、採掘装備といって採掘系ステータスが上昇する。
しかし『陰陽の兜』を持っていながら狩り用の装備『純白ティアラ』を所持していた。
(…どういう基準なのやら)
しかし狩り用の装備があったのは助かった、準備万端で狩りが出来る。
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