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うどん屋に俺達は集合した、暗い雰囲気に包まれたプレイヤー達の中で少しだけ俺達は浮いていたように思える。
「んで、とわ。どうだったんだ成果としては」
「上出来だ。計画は順調だから発表しようと思う」
「おーぱちぱち」
「ギルドを作ってギルドカフェを買う、これが第一目標だ」
「買う?」
クロが疑問を抱く、当たり前だ。四畳半の空間でも十万は行くのだ、借りるなら一万程度だが…
「ああ、百万コインレベルの場所を買う。資金についてはもう集まったようなもんだから心配はない」
「…そうか、こっちもこっちで八千は稼いだ。中の三千はうどんで消えたが…」
狩りクエストは基本的に安賃金だ、跳ね上がった報酬の狩りクエストもあるが今はまだ手が出せない。
少し経ったら50レベル地域にも足を踏み入れた方がいいのだろう、そうしなければ狩りのレベルが向上しない。
死という概念は振り払われたと思っていいのだろうか、不安感もあるが一度くらいなら大丈夫だろう。
「とーちゃん、油揚げくれ!」
「馬鹿これがウマいんだろうが!やらんぞ!」
シエンが箸で突っつく油揚げを渡さないように掴む、シエンは笑顔で俺のうどんを箸で持って行った。どうやらシエンのうどんは空っぽらしい。
「美味しいね!」
「俺のだよ!」
「もらっていい?」
「遅いよ!あげないから!」
うどん屋の中にシエンと俺の声が響く。あまり大きな声で言ったつもりはないのだが、やはり店内が静かだからという事もあるんだろう。
「シエンも那奈を見習えなー、こっから見たら那奈なんてお嬢さんって感じだぞ?」
「え、そ…そんなぁ、恥ずかしいですよお」
那奈は顔を逸らす、シエンは「那奈さんはいつも可愛いじゃん?」と言う素直な褒め方に顔を真っ赤にする。
顔を背けて見える耳まで真っ赤っかだ、思わず俺はクスクスと笑みが零れる。
「あまりいじめてやるな2人共」
とは言ったものの、那奈の隣に座っていたシエンは那奈の頬をつっつき始める。
那奈の可愛らしい抵抗が微笑ましい、赤ちゃんの嫌がる「やんやー」と同じ電波を感じる。
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