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300×30×4。
この短時間で働いて出た成果がそれだった。
36000。
狩りクエストにして36回分である。
「宿に行くか、皆今日はお疲れ様だった」
「疲れたねー」
シエンは笑って言う、疲れたといってもまだ軽い方だ。定食屋で夕飯を済ました俺達は予約していた宿に向かっていた。
宿の料金は一部屋で千コインと格安だった、いや…狩りクエストのみだったなら格安とは言えなかっただろうが。
「外が慌ただしくなってきたな、何か動いてるようにみえる。…とわか?」
「何で俺のせいになる、まぁ引き金を引いたのは俺かもしれないけどよ」
大量のピッケルが運ばれていた、向かっている方面は20レベル地域『海辺の砂漠』と50レベル地域『幽霊海』であろう、敵が出現する鉱山ではないから安全な採掘が可能だ。
「クロ、風呂だ風呂!」
「そうだな、風呂付き旅館で助かった。ゲーム内では風呂なんて機能はなかったから焦ってたんだ」
クロは暑い鎧を剥いで窮屈な籠手を外す、うどん屋で食べていた時も鎧だったから着心地が悪いという事はないんだろうが、それでも鎧を付けている方が楽という事はないんだろう。
「とーちゃん!混浴で待ってるからね!」
勢いよく襖を開け襖を閉めたうちの娘、実に元気のよい奴である。
廊下からはシエンの行動を止めるように那奈が「やめなよお」と発言しているが、あれは那奈には止められない。
「男2人部屋と女2人部屋、2つ部屋を取っておいて正解だったな」
「あちらの部屋では枕投げでも起こりそうだしな」
クスクスと笑いあい、俺達もと襖を開けて廊下に出る。
昨日は入れなかった風呂だ、存分に堪能しよう。
「この銀髪もくしゃくしゃになってしまったしな…」
そうクロは言うが、綺麗な銀髪だ。見た目からはくしゃくしゃという気はしない。
本人が言うならそうなんだろう。
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