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「とーちゃん遅いぞ!ゆでだこにする気かー!」
「ははは、悪い悪い」
結局俺達は混浴だった露天風呂に赴き景色を一望する、見えるのは街の風景と山々、『海辺の砂漠エリア』の海が見える。
絶景という訳じゃなくとも、何かいい景色のように思える。
「何か、やっぱり来ちゃったんだなって思っちゃいました」
那奈は呟くように言う。
「ゲームの世界に来ちゃったんだって。この景色見た時は呆然としちゃいました」
「確かになぁ…」
こちらに来てから2日目、やっとそんな気持ちになった。俺達は夢じゃなく現実としてここに来てしまったのだと。
恐怖や不安はあるけれど、那奈やクロがいてくれて良かった。少なくとも俺は助かっている。
そしてシエンも犬丸も。
楽しいムードを作ってくれたアイツらにも、感謝。
「しんみりするなー!」
シエンにチョップを喰らう、全くこいつは那奈と違ってお転婆だなぁと苦笑する。
クロも端で笑っていた。
「全くお前はなぁ」
「とーちゃんが那奈にデレデレしてるのが悪い」
「俺がいつデレデレした」
そんな那奈は既にのぼせていたのだろうか、顔に熱を帯びている。
俺が心配で声を掛けると、テンパった口調であがりますと告げてそそくさと混浴場を出て行ってしまった。
「…とわのばーっか」
クロから馬鹿にされるとは。
何かしたか?俺。
「ところで、明日は何するか決まっているのか?」
「午前狩り、午後採掘。夕方にギルドを立てよう。カフェはまだ買えないけど、設立だけ」
承知したとクロは笑う。
ブルーバードが忙しくなるのはこれからだろう、それに乗っかって俺も動かなければならない。
ない頭脳で考える。
勉学くらい少し身につけておけば良かったなと溜め息をついた。
しかしそんなこんなでも。
俺達のギルド《永久旋風》は完成するのである。
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