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『敵は鉱山採掘所の半分を制圧、押し切られかねない。既に那奈はスキル詠唱速度が下がってきている。敵は六刃の一つ、水剣を所持』
クロのメールに了解と素っ気ない返事をして騎龍のスピードを上げる。
六刃の一つ、水剣を持つ敵はアレクだ。
ギルドバトルの沈黙のルールを破った時に六刃の俺が駆り出されたのは、六刃には六刃でしか勝てないであろうという架空の法則が出来上がっているからだ。
「高度を下げないの?」
「急降下する、洞窟内は前に確認したが広い。騎龍ごと突っ込んで奇襲を行う」
「承知」
奇襲とは言え洞窟の外には見張りがいるだろう、それを振り切っての侵入だ。
鉱山内はバトル制限区域、スキルや攻撃ができない区域なので入れば安心だ。
しかしあいつらがいる採掘所の方はバトルフィールドなのだ、ただ『石像の大地』の鉱山採掘所には敵がいないだけでスキルや攻撃は可能なのだ。
「私がピッケル無しで採掘できたのは、壁に対してスキルを使用していたから…スキルの練習もできる場所だからゲームの頃から人気だったけど、仇になったね」
「頭上注意」
「御意」
騎龍が空から鉱山の入口に矢の如く突き刺さる、見張りも反応はしたが風で押し飛ばれてしまったようだ。
幸いな事に採掘所入口の方には敵はいなかった。
「入口制圧後こちらの援護頼む、働け犬」
「わん」
二人の修羅が別方向に駆け抜ける。犬に主人、命令を聞き入れた犬は二人いた見張りを軽く制圧して採掘所の方に向かう。
身体も転ける程に、身体が斜めになりながら駆け抜ける最速の獣。
「早かったな」
「わん」
犬は主人に追い付くと主人のペースに合わせる、主人のペースは後に戦闘を行えるスタミナを貯めておくスピードだ。
歩調を合わせて着地タイミングを合わせ、足音が不快にならないように足音を揃える。
「旋風撒き散らす、お前は飛んだ奴を砕け」
「わん」
走りながらメールをする。
『残った奴を潰せ』
『攻撃重視』
そして、敵の背中が見えてきた
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