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「お、おい!何でこんな早くアイツらが…アザカはどうした!グルだったのか!」
敵は5名。
青色の薄い剣を持ったアレクはそう漏らした。
「那奈!」
「……《旋風雷神撃》!」
鉱山採掘所内に風が吹く、渦巻き状に吹く竜巻がアレクを包み込む。
「《氷山侵食》!」
それに対処するように氷の壁を張って身の安全を守る、渦巻き状の風を防ぐには三百六十度の氷の壁しかない。
《旋風雷神撃》は雷属性もかねている、水の壁では守れない。アレクはギルドバトルの経験から、そこは分かっていた。
しかし、ここはゲームではないという事がアレクの未来を左右させる。
「《ストームブリンガー》!」
那奈が詠唱する力が俺に降り注ぐ、風属性ステータス上昇スキルだ。
「《ウィンドスレイ》!」
振り抜くポーズではなく、突き穿つポーズ。
氷壁に突き刺した俺の短刀、『冥府短刀・風城』の剣先が揺れる。実際には氷壁に当てたという程度だったが。
ヒビが入る。
しかし、割れはしない。
「…那奈、狙撃魔法準備。他も準備。戦闘は各自の判断に任せる」
「わかった」
「わん」
「はいっ」
いい返事を聞いた後、『風城』を氷壁にねじ込んだ。
『風城』の《ウィンドスレイ》は剣先からねじ込まれた、内部で吹き荒れる風は荒れてやがて氷壁は内側から
割れる。
刹那、一瞬にして。
「《バーサク》!」
「《バーサク》!」
哮る黒騎士に哮る白騎士。
どうやらプレイヤーも敵と識別できるようだ、内部から吹き荒れた風に乗って吹き飛ぶ3名に足を水で濡らし凍らせて地面と一体にし、持ちこたえた者が二人。
のうち一人がアレク。
「らああああ!」
「らああああ!」
陰陽。
黒と白が交わる一閃先にアレクが立っている、地面に脚が着いていて回避できない状況で。
まさに格好の敵。
「ぐうぁ!」
綺麗に2つの剣が前後ろから、アレクの五臓六腑が悲鳴を上げるのを《バーサク》の力で上昇した感知力で察知する。
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