28人が本棚に入れています
本棚に追加
「久し振りじゃねえかクロスロード、仲間まで連れて…『永久旋風』?」
「久し振りだ烈火、こちらは最近作られた『永久旋風』のギルドメンバーだ」
『canary』…というギルドの副マスターをしている烈火さんは興味のある顔をする、六刃でも副マスターなのか…と思うが烈火さんはその立ち位置に満足しているようにも思える。
「永久旋風。風か」
「そうだ、こちらがギルドマスターのとわ」
「とわです、白騎士の風特化です」
「……トワイライト・イルミス・エーベルヴァインのガキか、昔、アザカから聞いた」
アザカという言葉から冷や汗を覚える、俺と同様に犬丸も一歩下がっていた。
烈火さんはソファーに座っていて俺達は立っている、逃げようとすれば逃げられる。
が。
おそらく、この『canary』に敵視された時点で勝ち目がないと判断していいだろう。
ギルドバトルチャンピオンの『canary』、そしてプレイヤーバトルチャンピオンの『烈火』、トワイライトなら勝てたかもしれないが、俺は師ではない。
「アザカのしている事を貴方は知っていますか」
「おう、法律の件だな。その件で話でもしたいのかトワイライトのガキ」
「はい」
「…そうか、ならマスターに聞け。俺は戦闘特化の石頭だしよ、トワイライトのガキの話なんて聞きたくない」
烈火さんはそう言って席を立って奥に行ってしまった、客間なハズなのに客だけが部屋に残されてしまった。
やはり根に持っているんだろうか、最強とうたわれた自分が火にとって格好の獲物である風属性に敗北したという事を。
リベンジステージに、トワイライト・イルミス・エーベルヴァインは現れず、引退してしまった事を。
「…クロ」
「お前に対して嫌がる気持ちはあるだろう、烈火は一言で猛獣と呼ぶに相応しい。それが副マスターという事は、どういう事だかわかるか?」
クロは冷静に言う。
そんなクロを横目に見ていると、静かにドアの開く音がした。
最初のコメントを投稿しよう!