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「あるじのにおいが!」
「?」
カンカンカンカン。
階段を高速で駆け下がる音が聞こえた、階段の段差を立ち上がり階段から少し離れて上を見上げる。
「見当たらない」
カカカカカカカッ
「にゃー!」
階段に座っていたクロスロードの隣から突如、槍の刺す様な速度で接近するものがあった。
それは腹に突撃する、刃がない所でこれは武器ではない事に気が付いた。
「ああー主だぁ、久々すぎて頭ぐりぐりしちゃうよぉ」
「痛い痛い痛い痛い!何かトゲがあるトゲ!」
「ん?あ、陰陽の兜か、採掘装備だったよめんごー」
そう彼女は謝る。
犬丸姫の登場だ。
「姫、不埒」
「なにおう、君達も悪いのだよ!集合場所は建物の上じゃなかったのかーい!」
(ああ確かに。)
「姫は階段を通らずにどうやって…」
クロスロードは驚く様に犬丸に聞く、その事について俺は大体理解がついていた。
「建物つたって」
「クロ、プレイヤーとしての運動神経は持ち合わせているんだ。俺も彼方の建物からジャンプして来たが、跳躍力の高さに驚いている」
「…ほう、流石はとわ、か。1つ先を行くな」
「私もだ」
情報交換はしまいらしい、暫く無言になって時の流れに身を任せた。
話す事がないのだ。
いや、あるだろうけど。
どうしたらいいのか。
(犬丸は、自分のギルドはいいんだろうか)
犬丸は『猫の集会』というギルドに入っている、メンバーの数は約500人、引退、あるいは放置してるプレイヤーを含めて…だが。
よくて440人だろう。
「しかし、クロスロードがそんなクールな声だとは思わなかったよ、惚れちゃうにゃん」
「ちょっと照れるな…」
たしかにクロスロードは気取っているように見えたが、実際会ってみて感じる、これが素の男なんだろうと。
チャット画面からいきなり声で語る様になったのだ、こちらもやはり驚きだろう。
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