石像の大地

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「それを言ったら姫の主もクールな声をすると思うが」 「クロスロードよりかは軽いけど、そういう所が主の良さ」 「フォローどーも」 黒騎士クロスロード様にかなうとは俺も思ってないよ。 実際、『冥府の塔』というフィールドにおいては彼の人気度は抜群に高い。 「んで主、どうする?那奈ちとシエンちは連絡つかず」 「メール来たよ、方針会議やら何やらで来れないってさ。俺達は俺達で活動しよう」 「活動…?」 クロがこちらをみて首を傾げる、犬丸も同様にこちらを見つめる。 「無論狩りだ」 「怖い事を言うなお前は」 クロは刀を抜いて掲げる、空気を払う様にして勢いよく振ったクロの瞳は勇ましい。 あぁ、こいつはもう戦闘態勢だ、犬丸も感じただろう。 「行こう、場所はどこだ?」 「石像の大地フィールドだ、様々な敵と戦えるのは現状況で一番良い」 『石像の大地』は80レベル近辺までの敵が全て40レベル辺りまで弱体化、あるいは強化されて出現する。 高レベルプレイヤーもよくやる手段だが、弱体化された敵は行動パターンに似たような形跡がある為参考になる。 「40レベル地帯…か、いいのか?そんな場所で」 「万が一の場合でも逃げられるだろうし…大体俺達は死ねないんだ」 「死ねない?主、死んだら街で再スタートできるじゃ…」 「ゲームでは、だ。そんな確証は今現在、存在しない」 犬丸の笑みが静止した、何を言っているんだという顔付きになる。その一方でクロは理解していた様だ。 「確かにな、ゲームが現実になった今、現実では出来なかった死からの復活は果たして可能であるかと言われたら、答えられん」 それでも行くしかない。 この世界を出れる確証がないし、待っていても得る物は何もないのだ。 ブルーバードの広場は一度沈黙が訪れた様だが、気付けばまた罵声が飛び交っている。 (ああはなりたくないな) 犬丸もクロスロードもそう感じているんだろうか。 「とわ、報告だ」 クロが黒い兜を被りながら言った。 「那奈とシエンが向かって来ている、集合場所はどこだと伝えればいい?」 「これから向かう場所だ」 了解したと、黒騎士は告げた。
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