いかれた帽子屋

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「ん、そう。ちょっとサボってただけだから…んなおこんなよ祐輔、母さんには内緒な?…は?…わあったよ、今日飯作ってやっから…おう…ああ、じゃあきるぞ。…ふぅ…。すんませんした 石原先生。」 携帯を閉じ、目の前の人物に目を向ける。 「なに不貞腐れてんだよ。元はといえばてめえが悪ぃんだろ」 「だからってわざわざ俺に電話かけさすか?普通担任のあんたの仕事だろ!」 「黙れバカ。」 「はい言っちゃったよ!?この人生徒にバカ言っちゃったよ!?」 「ウザい。俺の靴でもその汚い口に突っ込めば黙れんのかお前は!?」 「…あんたなんで先生なれたんだよ」 「もういい、さっさと帰れ。」 「あ!今嫌な話になりかけたから話題変えたよね!怪しさまんてんなんですけどー!」 「お前もっかい心臓動かしたら俺の奴隷決定な?」 「失礼しましたー」 石原の右手に手鎖がジャらついていたのが見えた時には、大輔は職員室の扉を閉めていた。 『逃げ足だけは速いのね。』 「だけとは失礼な。」 短い昼休みの大半を石原のおかげで失ったのと、ウサギにご馳走してもらい腹がさほど減っていなかったのとで、残る時間はアリスの話に捧げようと思い、大輔達は今屋上に居る。 『にしても最低ね、あの教師。自己チューにも程があるわ。』 「だよな?俺はすんげえ嫌われてっから慣れてっけど。」 『あら、嫌われてるようには見えなかったけど?』 「そうか?てかさそれよりアリスが見える前のあの花とかは誰の仕業か思い当たるふしある?」 『ウサギやチェシャじゃなかったの?』 「聞いてはいないけど多分違う。ウサギは俺のこと知らなそうだったしチェシャは俺が来ることさえ知らなかった見たいだし。」 『そうね。じゃあ帽子屋?でもそれなら私に言うはずだし…。あ!』 「何か思いついたか?」 『大輔あなた確かお菓子がどーのって言ってたわね?』 「え?あぁ」 『じゃあきっと三月ウサギよ!』
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