勇者な幼なじみ

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不愉快な感覚が肌をチクチクと刺すのに気が付く。 方向と位置の関係から、剣を向けてきた騎士と同年代の王女サマ。 目線は動かさず視界の端で捉え確信する。気付かないフリをしとけば大丈夫だろう。 意識を幼なじみと王様のやり取りに戻し、今さら気が付いたかのように自己紹介をしようとしている。 「俺の名前は……」 「名乗るなバカ、略称または敬称で十分だ」 呼び名がないと不便であるがこれには理由がある。 ここは、この世界は、おとぎ話のような魔法や剣のファンタジーの世界である、と王様に説明された。 真名、つまり地球上のフルネームを知られることは致命的な弱点になりうるからだ。 魔法、呪術には相手の名を知っていないと効果がないものもあるからだ。 「でもさ、名乗らないのって失礼に当たらないか?」 王様には名乗ってもらっているから、その意見はごもっともだが、失礼と言うならコイツらも相当だろう。何故なら、 「異世界の住人を自分たちの世界に喚んどいて、いきなり剣を向けるは、今も敵意向けるは、仕舞には自分たちの手に負えない案件を人任せにする。こっちの方が無礼極まりないと思うのだが?」 気付かないフリをしていたとはいえ不快だったので、もっともらしいことに加えて言わせてもらう。
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