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「それについては申し訳ないと思っている。
しかし、ならば何と呼べばいいかな? 彼は勇者殿と呼ぶとして……」
「マキでいい、様付けだけは勘弁して欲しい」
王様は快く了承してくれた。
腰は低くて寛容で聡明、器量の大きな国王という印象を受けるが、猜疑心の強い心は、裏があるのではないかと考えてしまう。
「俺もユウキ、って呼んでくれないか? 勇者殿、って呼ばれるのムズ痒いからさ」
自分の内心とは裏腹に、幼なじみ、この世界ではユウキと名乗る少年は、あどけない笑顔でそう言った。
ユウキ、……それ地球の名前の方やん。
そう心の中でツッコミながら、何で言ったこと理解してくれないかな?と歯痒さを感じたが、
あれだけオマケが騒いでるのに、わざわざ本名名乗るなんて思わないだろうし、フルネームではないから大丈夫だろうと、気にしないことにした。
そもそもの前提は、この場にいる人間、もしくは、王宮内にいる者のなかでスパイがいたり、国家包みで自分たちを利用しようとしている、というものだ。
地球に居た頃と変わらず、自分の性格には手を焼く。警戒するに越したことはないが、杞憂であることを願うばかりだ。
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