勇者な幼なじみ

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いつの間にか、自分ことマキは、勇者のオマケという立場になっているのはご愛嬌だ。 ユウキは、高校の制服に身を包んでいて、文化が違えどきっちりとした身なりをしているし、この世界に召喚されてからの対応も柔らかかった。 対する自分の格好は、部活からの帰りで、着替えずにいたのでジャージ姿だ。あまり締まった格好とはいえないし、傍若無人な態度は印象を悪くしているし、極め付けにあの一悶着だ。 どちらが勇者か、なんて考えるまでもない。十人が十人指差して「勇者」と言うのは、ユウキで間違いない。 捕捉しておくと、勇者召喚で召喚されるのは一人のはず、とのこと。 二人召喚された事例はなく、自分たちは異例らしい。 また勇者は、次元・時空を越えて召喚され、その影響により不思議な力を得るとのこと。 ユウキは、魔法を使うための魔力が身に宿り、肉体がそれに耐えるために強靱になっている。 比して自分にはこれといった特徴は出ず、後ろ向きな思考が悪化したのと、命を賭ける行為に躊躇いがなくなったことくらいだろうか。 そんな要素が絡み合い、自分が勇者である可能性はなくなった。
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