お役御免の脇役

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自分ことマキは、王宮のあまり使われない客室で快適な軟禁生活を送っている。 というのも、【勇者】という肩書きというのは厄介で、影響は多大で計り知れないからだ。 本来、「打倒魔王」という大義名文の下、勇者召喚を行い、勇者に実行してもらうなら問題はない。 しかし、それは「召喚される勇者は一人」という固定観念があるから成り立つ。 見事に「常識」を覆してしまった自分という存在は、様々な問題を誘因しかねない。 治安上の問題、勇者を崇め讃える信仰の宗教問題など、国内の混乱に繋がること。 パワーバランスを崩壊させる不穏因子としての問題。張り子の虎でもその信憑性がなければ脅威にしか映らない。 等々、列挙すればキリのない。下手すれば核爆弾以上に悲惨な結末を迎えてしまう。 自分が原因で、人生を狂わされた人が出てきたり、死人が出る事態になろうと知ったことではない、というのが本音だ。 だが、王国による身元がなければ居場所などない。この世界では、黒髪と黒い瞳は目立ち過ぎる。 よって、王様のオネガイを聞かねばならなかった。そして現在、目立たないところに追いやられている。 王女サマや女騎士に喧嘩を売ったセイでは断じてない、と申し上げておこう。
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