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魔王は忌ま忌ましくユウキを睨み、左手に黒いモヤを収束させていく。
だが先手必勝と、魔法使いのレウスは魔法を展開し、一条の光が魔王を城の床に縫い付けんと降り注ぐ。
光は溶解する熱量と圧迫する質量を兼ね備えているのか、魔王は片膝を付き耐える。
光の奔流が収まり始めると魔王は叫びながら立ち上がり、黒いモヤを収束していた左手を横になぐ。
黒いモヤが波状となって広がり、大気を震わせながらユウキへと向かっていく。
騎士のタリアは盾の術式を展開し半透明の巨大な盾を形成し、ユウキの前に立ち黒いモヤから守る。
タリアの盾は魔王の攻撃とぶつかるが完全に防ぎ切ることはできず、衝撃によってタリア、レウス、ユウキは後方に吹き飛ばされる。
魔王はその様子を見て悦に入ったのか、高笑いしユウキたちが立ち上がるのを待つ。
王女のパトリシアは治癒の魔法をユウキたちに掛け、彼らが負った傷を癒し治していく。
元から大した傷ではなかったので治療はすぐに終わり、ユウキたちは立ち上がり、各々の武具を構え魔王に相対する。
ユウキとタリアは隊列を組み、先頭をユウキが走り魔王の頭部目がけて剣を振るう。
魔王は再度黒いモヤを収束していた左手で白刃取りしようと待ち構える。
しかし、剣の軌跡は歪む。魔王の左手に届く刹那、剣は引かれ胴を切り裂いた。
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