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「胴あり一本、てね!」
鮮やかに決めたユウキはそのまま魔王の右脇を抜け背後へと回り残心を取る。
魔王は斬られたことで鋭く走った痛みによってたじろぎ、タリアの斬撃を受け左腕を失う。
我が身から左腕まで切り離された衝撃と驚愕の表情を浮かべる。
だが、ユウキは待たない。リアクションを取らせる前に背後から一太刀を浴びせ、タリアが胸部を剣で貫く。
二人が魔王から距離を取ると、魔王は崩れる落ちる。
「いいとこ取りご免!」
魔法使いのレウスが魔法を展開し、円と幾何学模様と解読不能な文字が魔王中心に出現し、瞬く間に光り弾け散り大爆発が起こった。
「やったな……これでお仕舞い!」
してやったりと得意顔になるレウス。
魔法の影響で爆発が起こった所は煙を上げており、魔王の姿は見えない。
強烈過ぎて耳の鼓膜が傷んだセイで、音による知覚は難しくなる。
「ああ、それはダミーだ、残念だったな」
パトリシアが叫んだにも関わらず、レウスは気付けなかった。
彼の背後に魔王が立ち、手刀を突き立てて腹部を貫くまで……。
レウスの身体を黒いモヤが蹂躙し、物言わぬ屍に変えるのに時間は掛からなかった。
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