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「……二、三聞きたいことがある……」
ユウキは視線を伏せ、身体を震わせながら言葉を紡ぎ出す。魔王は勝ち誇った顔と声色でユウキに質問を許す。
「そこの男は王宮の使用人だったはずだが、何故ここにいる?」
「この男は妹を勇者召喚の贄にされ、貴様らや王国を憎しみ恨んでいた。
王国を滅ぼす手伝いをしてくれ、と「お願い」したら快く受けてくれたよ」
魔王は使用人だった男に目を向け、愉快そうに笑いながら答える。
「まあ、貴様の大切な者を丁重に遇させ、役目を終えて逝ってしまったがな」
下らなそうに呟き、ユウキの方へと向き直る。
「……キに……マキに何をした? 俺が来るまでに一体何をした? 答えろ、答えなければ許さない。
答えても答え次第では、絶対に許さない!」
震えるユウキは魔王をキツく睨みつけ、怒気を隠すことなく声を荒げ、更に感情を高ぶらせる。
「言ったハズだ、「丁重」に遇した、と。
こうして着飾らせることも立派な遇しだと思うのだが……、何をそこまで剥きになる事がある?」
魔王はユウキの態度に思わず惚けてしまう。全くもって理解できん、と首を捻る。ハテナマークをたくさん浮かべ、思考してしまう。
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